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歯と健康 正しい知識の普及を


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歯と健康 正しい知識の普及を

頭痛、肩凝り、腰痛など、さまざまな全身症状が歯の「かみ合わせ」が原因でおきているおとが意外と多いという。ちょっとしたずれで引き起こされるかみ合わせ不調和は、安易な歯科治療や合わない入れ歯が原因でなることが多いという。これに対して、全身症状まで考慮した治療を行う歯科医は、まだ少ない。患者自身が声を上げ、歯科治療の現状を変えていく必要がありそうだ。(永井優子)
 

 頭痛、肩こり、腰痛...「かみ合わせ」が主な原因、全身を考慮した治療が必要

 「はっきり自覚している人はまだ少ないが、さまざまな病気の症状は実は歯のかみ合わせが原因であることが少なくない」というのは林歯科(東京中野区)の林晋哉院長。(写真左)

 同歯科では、歯科医療研究センターを併設、歯科技工士の兄の裕之さん(写真右)とともに、かみ合わせを重視した歯科治療を実戦している。

「重い頭を支え直立歩行する人間は、二本足の三脚でカメラを支えているのと同じ。下あごはブランコのように体の中心にぶらさがって、重りの役割を果たしている。重りがちょっとずれただけで全身が傾き、筋肉や血管、神経に無理な負担がかかり、全身症状につながります」と林院長。その下あごの位置を決めるのが、歯の位置。かみ合わせが重要だといわれる理由がここにある。 

 同歯科には肩凝り、耳鳴り、腰痛などを訴える患者が来院するが、その多くが誤った歯科治療によって引き起こされたものだという。同歯科での治療は、金属の詰め物を落としていくことが中心で、歯を削ることはなまずない。歯は自然と摩減するものなのに、硬い金属の詰め物は減らずそこだけ高くなってしまい、ゆがみが生じる。また、合わない入れ歯が原因になることもある。

 たとえば、八十八歳の女性のケース。入れ歯が合わず来院したが、よく聞くとめまい、頭痛などの症状があることを訴えた。この女性は、下の奥歯の歯列がV字型にあぐれているのに合わせた入れ歯を上あごに入れていた。歯は上下だけでなく、左右前後にもかみ合わせる。だが、この方法では楕円(だえん)形の動きができない。このため、正しいかみ合わせの位置に合わせるため下のえぐれた部分も修正し、入れ歯を作り直したところ、全身症状も消えたという。

 一方、かみ合わせが悪いのなら、かまなければいいという発想で編み出されたのが「割り箸方」。畳の上に横たわり、かまずに軽く口を開いて、その上に割りばしをのせる。三十分程力抜いて楽にしていると、間違ったかみ合わせが一次的に修正され、あごが正しい位置に戻り、だるさや疲れも取れるという。手軽にできる治療・診断法だが「効果が大きいということは、間違うとその影響も大きいということ。専門医の指導を受けたうえで、実行してほしい」(林院長)。

 歯は体の表に出ている唯一の骨。安易な修理ではなく、医学的な治療の一環として慎重な対応が望まれる。しかし、現実に全身との関連を意識した治療をしている歯科医は少なく、保険項目にもないため、同歯科の診療はすべて保険外だ。

 患者の立場は、とにかく受け身になりがち。「一回の治療で手をつける歯は一本だけにする。また、カーボン紙のようなテスト用紙でかみ合わせを調べるときは、診療台に寝たままではなく、普通のイスに座るか、立った状態でやってもらうように歯科医に頼む。聞き入れてくれない所には行かない方がいい」と林院長はアドバイスしている。

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 読売新聞 1997年(平成9年)4月15日(火曜日)

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