咀嚼と脳とのかかわりが深いことは「歯を失うとアルツハイマー病になりやすい」「よく噛むと記憶力がアップする」といった説があることからも分かる。いずれにしても「かみ合わせは万病のもと」と肝に銘じておいた方がよさそうだ。では、いったい何がかみ合わせを悪くするのか。
まず頭に浮かぶのは、顎や歯のけが。歯周病もよくない。加齢とともに歯が抜けたり、入れ歯になったりした時も心配だ。意外なところでは、「片方の歯ばかりで噛む」「うつぶせや横向きに眠る」「頬杖をつく」といった何げない癖の積み重ねが歯に負担をかけ、かみ合わせをおかしくする恐れがある。
虫歯の治療や歯列矯正がきっかけになる場合もある。
「残念なことですが、かみ合わせを無視して治療する歯科医がいるのは事実です。そういう先生に当たってしまうと、たとえ虫歯や歯並びはよくなったとしても、その代わりにかみ合わせが悪くなってしまいます」と歯科技工士の林裕之さん、歯科医の林晋哉さんの兄弟は口をそろえる。
林兄弟は著書
「いい歯医者・悪い歯医者」(講談社+α(プラスアルファ)文庫)で、かみ合わせを無視した歯科治療の恐さを訴えた。その後、東京中野区の「林歯科」は、虫歯の治療や歯列矯正でかみ合わせが悪くなった人の駆け込み寺になっている。
(AERA アエラ 2000年(平成12年)3月20日号より抜粋)